活動報告

講演会

中国経済クラブ(椋田昌夫理事長)は5月27日、広島市中区の中国新聞ビルで講演会を開いた。政策研究大学院大の竹中治堅教授が「国際環境の変化と高市政権」と題して話した。中国とロシアが連携を深める中で「高市政権が安全保障体制を強化する令和の富国強兵を進めている」と説いた。要旨は次の通り。(野平慧一) 

高市政権とその政策を理解するには、国際政治で何が起きているかを知る必要がある。近年、中国やロシア、北朝鮮など権威主義国間の連携が非常に強まっている。特に中ロ関係は非常に緊密化し、2025年は首脳会談を3回も開いた。26年の共同声明では米国を念頭に覇権主義を批判し「日本が再軍事化を加速している」と警戒感を強める。

米国は冷戦後、自由貿易や民主化の拡大を進めてきた。各国は米国の膨大な軍事予算を使った防衛努力に「ただ乗り」してきた。トランプ大統領の発言から冷戦後に果たした米国の役割への深い反省が読み取れる。経済的に豊かという理由で北大西洋条約機構(NATO)に対して軍事支出の拡大を求めている。一方、日本や韓国の防衛費の増額には限界があると理解を示している。

次に重要なのが中国の台頭だ。海洋進出を続け、レアアース(希土類)の対日輸出規制をかけている。そこで各国が進めているのは半導体など産業政策の復活だ。戦略的に重要なため、産業政策に各国が予算を投下している。こうした状況の中で日本は政策を立案している。

日本の政治や政策決定の理解には権力構造を知る必要がある。中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に移行した1994年以降、首相の権限が強まっている。無所属議員の当選は困難となり、党公認権の影響力は大きくなった。内閣官房の機能強化や内閣府の設置などで権限強化につながった。首相は議員に束縛されず、閣僚をコントロールできる。官邸主導の「高市無双」とも言える状態だ。

今、世界は産業政策が中心だ。高市首相は、人事権を握る官僚や閣僚に経済戦略と安全保障戦略に精通した人を据えている。

一方、問題となるのが、高市首相の掲げる責任ある積極財政だ。日本は借金大国なのに、経済対策だと言って補正予算を組むがばらまきに映る。世界的に見て日本の財政状況はまずい。国の通貨が下がれば円安に振れる。結果として物価高対策がインフレを加速させている。高市首相は防衛費を増やし、成長投資で国家予算を増やすと訴える一方、消費税減税も不退転の覚悟でやるという。借金まみれで日本の防衛態勢をちゃんとつくれるか疑問だ。今や日本の財政状況は安全保障問題だと危惧している。

中国経済クラブ
  • 事務局長

    道菅 宏信

  • 事務局員

    新久 みゆき、冨田 朋恵