中国経済クラブ(苅田知英理事長)は1月28日、広島市中区の中国新聞ビルで講演会を開いた。中央大法学部の中北浩爾教授が「高市政権と日本政治の現在地 衆院選と今後の展望」と題して話した。自民党が単独過半数を得られれば、政権の勝利になると見立てた。要旨は次の通り。(岸慶太)
高市早苗首相は予算成立前に衆院解散に踏み切った。国民民主党から協力を十分得られない。中国はレアアース(希土類)の輸出制限を強めてきた。政権基盤を強めたかったのに加え、政治とカネの問題や、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)のスキャンダルを通常国会で追及されるのを恐れた可能性がある。
立憲民主党と公明党が新党「中道改革連合」を結成したのはサプライズだ。公明はタカ派の高市首相の政策が合わなかった。例えば、非核三原則。高市政権は「持ち込ませず」に手を付けようとした。公明は(支持母体の)創価学会を含めて核廃絶がスタンスだ。選挙で自民に協力して勝利しても、その後に切り捨てられる懸念があった。
実は立民と公明は選択的夫婦別姓など政策がほぼ一緒。立民代表だった中道の野田佳彦共同代表もかねて集団的自衛権や原発政策で現実的な方針を示したいと考えていた。新党結成で、それらを「やりきった」との思いもあるはずだ。
また、公明は衆院選を準備しておらず議席の激減を危惧した。半減もあり得る立民が持ちかけ、排外主義など右派ポピュリズムへの警戒心から新党で一致した。広島3区では公明前職が比例単独に転出した。公明は創価学会員の高齢化などがあり、小選挙区の負担が大きいのも背景にある。
自民と日本維新の会に選挙協力はなく、高市首相から維新の吉村洋文代表には解散の話がなかった。維新は議員定数削減などの政策実現の要求が強く、高市首相は自民単独での過半数を望んだ。維新が旗印とするグローバル化と新自由主義は、時代に合わなくなっている。大阪の地域政党として残りつつ、自民と事実上一体化する流れもあり得る。
高市政権の経済政策はアベノミクスの継承で、積極財政で企業・産業に投資して経済成長する発想。国民生活よりも企業・供給サイドを重視し、物価高対策は具体的内容が貧弱だ。維新がアクセル役となり右寄り政策も進めている。日韓関係は非常に良い状況だが、靖国神社に参拝すればがたがたになる。中国ともお互いのメンツが保てる解決の糸口が必要になる。
今回の衆院選は高市政権を信任するかどうかの選挙になる。自民の単独過半数なら高市政権の勝利だ。最低ラインは自維の与党で安定多数の243議席以上。10議席のプラスが必須条件だ。与党が過半数を割れば、自民が比較第1党でも、高市首相は退陣し新総裁を選ぶことになる。中道が比較第1党になった場合、中道の首相による大連立の可能性が比較的高い。
自民のプラス要素は高市首相の人気の一点。参政党の台頭や、公明が離れたことなどマイナス材料はいくつもあるが、単独過半数なら国民民主も協力に回り参政もいる。安定政権となるだろう。